『ルポ 中年童貞』で泣いた

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『ルポ 中年童貞』中村淳彦(2015年)

こちらの本、高齢処女としては気になったので読んでみました。

しかしこれは…これはあかん。グッサグサくる。
実際に中年童貞である人がこれを読んだら死んでしまうんじゃないかってくらいキツい一冊でした。
というか高齢処女でも読んでてキツかった。

なんというか…とにかく当事者からのインタビューの迫力とリアルさが半端じゃない。
「さすがの私もそれは引くわ…」ってレベルの猛者が紹介されている。
フラれたショックでリストカットをザクザクして、最終的には大学で首と手首を切り裂いて精神病院の閉鎖病棟送りになったやつとか…あかん。壮絶すぎるだろ。女性不信すぎて同性愛に走ったり…半端じゃないネトウヨだったり…もうなんかすごい。ここまでくると逆に尊敬するレベル。
中には、女性と普通にお付き合いして、ラブホまで行ったのにセックスしなかったという一風変わった人も居た。

ちなみに、自殺した童貞AV男優「鈴鹿イチロー」の話にはもう号泣するしかないでしょこれ。本書75頁より転載。

生を受けてからひたすら負けて、屈折に屈折を重ねて、徹底的に後ろ向きであり続けた男の悲惨な結末だった。
無職で恋人を一度ももったことがなかった。毎晩、巨乳ビデオを借りてオナニーする。それだけが女との接点だった。
揺れる乳を触ってみたくて、どうしてもやわらかいあの乳に顔を埋めたくて、AV男優になろうと決意したとき、AV界のイチローになろうとイチローという名前をつけた。
飛び降りたのは15階建て自宅高層マンションの最上階、黒いアスファルトに頭から落ちて即死だった。早朝5時近くの出来事だった。誰にも気づかれることなく、孤独に自殺したのである。
鈴鹿イチローはAV男優になっても一発すらセックスできず、絶対に夢や理想や希望が叶うことのないこの世界を呪って、仕事も友達も恋人も楽しかった思い出もなにもなく、溢れんばかりの大きな絶望だけを抱えて、この世から消えて行った。
『ビデオ・ザ・ワールド2003年11月号』


イ…イチロー……(号泣)
泣いた。なんか…さすがに色々状況は違うけど、なんというか共感する部分がある。
イチローの「モテな過ぎて逆にアダルト業界に自ら近づく」という無謀な気持ちもなんとなくわかる。私もモテなすぎて頭おかしくなって、せめて異性に裸を見てもらおうと思ってヌードモデルやったんだし…。

まぁ、そんなかんじでこの本では、高齢童貞についての色々な例が書かれていて、そして色々と多角的に分析されている。

ちなみに、122頁からはじまる「童貞喪失を目指す学校」という項目で取り上げられている「童貞&処女のヴァージン卒業合宿」というプロジェクト…これは私も何年か前にネットで話題になっているのを見たことがある。
当時はビックリして「いやいやいやさすがにないわwww」と思っていたが、良く調べてみると大真面目な企画だったようだ。

ホワイトハンズという団体が主催したものらしい。結局女性の参加者が足りずに実現しなかったけれど、これは昔ながらの「夜這い」の制度を現代にマイルドな形で再現しようとしたとも言えるわけで、さすがに無理ではあるものの、良い問題提起にはなったのではなかろうか。

ある程度のバッシングや誹謗中傷は想定していましたが、予想をはるかに超える状態でした。
一番多かったのは「女の子がかわいそう」「処女を大切にしろ」という意見です。
援助交際や売春などもそうですが。女性が、好きな相手との恋愛以外の方法で、かつ自分の意思で処女を捨てることに対する、男性側のアレルギーは相当強いのだな、と実感しました。(p133-134)


うーん。あのね。ほんと…もっと考えてみてほしいよね。

ちょうどいい年齢で、好きな相手との恋愛で、理想的なロストバージン

なんて、女が皆できるとでも思ってんの?
できなかった人はどうなると思う?この辺をもっと汲み取ってほしいわ。

また、本書で高齢処女(中年処女)について触れられている部分はここだけだった。
AVに出演しながら、セックスや恋愛をテーマに日々様々な男女からの相談を受けているという小川氏(仮名)という人へのインタビューを元にした記述だった。

処女の取材はしたことが無いので知らなかったが、中年童貞と中年処女はまったくタイプが異なるようだ。中年処女は精神的に引きこもっている女性が多く、徹底的に能動的じゃない人生を送っているという。諦めの境地に達している、というのが実態のようだ。
諦めているのでどんなに自分が不遇だなと思っても攻撃的にはならない。労働集約型産業の末端で働く中年童貞に多く見られる、下の立場に威張る、イジメるなど、中年処女は人間関係に軋轢を生じさせることはない。
「中年処女の女性は、静か。なにに対しても自信が無いの。だから何事にも関わらないようにしようって。そういう印象がある」
小川氏は中年処女に対しては、彼女たちそれぞれの魅力を伝えて何歳になっても決して遅くはなく、いつからでもチャレンジができることを話す。
中年処女は中年童貞と同じく、関係性の貧困から生まれる客観性のなさがマイナスとなり、自分の魅力を知らなかったり、諦めなくてもいいところで諦めたりする傾向があるようだ。
時間をかけて繰り返し魅力を伝えて、前を向かせ、30歳や40歳で初めて彼氏を作る人もいるという。
(p191―192)


うーん…。まぁだいたい当たっているような気がするけれど、私はうるさい女で変人だから…論外なのかな。

というか、高齢処女ってやっぱりあまり取り上げてすらもらえないのな。中年童貞にスポットが当たることはあっても、高齢処女はなかなか…なんかもう社会に埋もれてしまって、引揚げられることもないんじゃねぇのか。本当に少数派なんだろうなぁ。
まぁ…高齢処女の場合は単純に扱いづらい・可視化しにくい・インタビューしようにもできない、という問題があるからしょうがないのかもしれないけど。
この私ですら匿名のブログでやっと吐き出せたもんな。

ちなみにこの小川氏(仮名)という人、こんなことを言っておられる。

中年童貞がどんなに孤立していても、本人の人生だからね。本人がなにも思わないならば、それでいいと思うわけ。ただ中年童貞とか中年処女とか、つまらない人生だよね。全員、そのままで終わらない方がいい。
(p190-191)


久々に打ちのめされた。別にこの人の言っていることが正しいわけでは無いし、単なる一個人の見解だけど、心に突き刺さる。

つまらない人生なのか。久々に本当に泣いた。5分くらい泣いた。

もう処女だの何だの考えるのやめようかな。ちょっと思い詰めすぎたな。辛くなるわ。
前回の記事で励ましのコメントをいくつも頂いたし…加藤はいね姐さんのブログ読んで励まされたし。

もはやこうなってくると、はいね姐さんの言うとおり「経験したことがないということが経験になる」のでは…って状況だよなもう。

辛いくせに何でこんな記事を書くかというと、高齢処女を社会から埋もれさせたくないからですねん…。
それでもまぁ…少しは認知されてきているようだけれど。

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この記事へのコメント

  • 花音(凛)

    私は転職歴多いですが色んな会社で恋人が欲しくても出来なかった男性、生涯未婚の男性を見てきたのでそんなに気にすることないですよ。

    一番見ててしんどかったのが、障害のある男性達ですね。

    知的障害や身体障害者で偏見の目で見られ、差別され恋人を作れない状況の人達です。

    恋人ができないどころか、周りからの偏見や差別に苦しみ、生きながらにして拷問…のような人たちを見てきたので、だから、そんなに処女であることを思いつめないでくださいね。
    2018年05月14日 20:07
  • シスイ

    花音(凛)様>
    そうですよね…私なんて全然恵まれている方だと思います。
    もっと大変な人は居るだろうし…狭い視野で考えると良くないですね。

    生きながらにして拷問、生きていることが拷問…というのは本当に辛いですね…想像を絶します。

    励ましのお言葉ありがとうございます。
    2018年05月14日 22:24
  • のとぴ


    久しぶりにコメントさせて頂きます。3年ほど前に、私もこの本を読みました。内容があまりにも衝撃的だったので、一気読みしてしまいました。鈴鹿イチローという名前も鮮明に記憶しています(「ヤルビッシュ無」という名前の男優をなぜか思い出しました)。

    私は経験済みですが、経験する前と後では何も変わりませんでした。結局のところ、「ただこすり合わせただけ」ですし。「この経験に重きをおくことで、儲かる人がたくさんいるんだろうなぁ」とか考えていたら終わっていました。

    資本主義社会において、経験するということは、「経済を回す」ということなので、「大半の人が重きをおいていることを経験しない人」の居心地が悪くなるのは自然なことなのかもしれませんね。なんとも世知辛い世の中です。それでは失礼致します。
    2018年05月15日 00:15
  • シスイ

    のとぴ様>
    鈴鹿イチローは本当に衝撃的ですよね。本の内容にある他のエピソードや分析の仕方も色々と衝撃的で、なんとも言えない気持ちになりました。

    たしかに、物理的に言ってしまえば「穴に棒を入れてこすりあわせてるだけ」ですよね。
    『夜這いの民俗学』では、性行為をお金にすることで国が儲かるシステムになった…とか、都市化によって色々なことが変わって行った…などが書いてありました。

    もともと行為自体ははタダなのに不思議ですよね。
    現代はネットやスマホの普及でアダルトコンテンツがどんどん拡大(氾濫?)していますし。

    結局、性的なことだけでなく、色々なことがいびつになっている原因を辿ると「お金」にたどり着くんですよね…。資本主義は残酷です。
    2018年05月15日 01:01