『この社会の歪みについて~自閉する青年、疲弊する大人~』というドンピシャな本

ニート時代についた良い習慣…それは「たまに図書館に行く」ということです。

図書館なんて、ニートになる前は学生時代を除くと全く行ってませんでしたが、今改めて行ってみるとなかなか面白いもんですね。

この社会の歪みについて.jpg
で、先日図書館をウロウロしていたら『この社会の歪みについて』というドンピシャなタイトルの本を偶然見つけました。
著者の野田正彰氏という方は有名な方のようですが、私は全然知りませんでした。

とにかくこの本は、なかなか鋭いことが書いてあります。
ページ総数126ページという薄い本ですし、読みやすい本なのですが、中身は濃いと思います。
出版年は2005年なのですが、なんというか「先見の明」とはまさにこのことなのかなと。
2018年の今読むと、改めて考えさせられることばかりです。

アマゾンのページを見ましたが、レビューも好評のようです。(件数は少ないけど)
私も概ね同意です。

また、出版社からのコメントにはこう書いてあります。

版社からのコメント
ニート、フリーターは気付いている。
「正社員になれば、待っているのは奴隷労働だ」
比較文化精神医学者の、最も新しい社会分析。(帯より)

「仲良くするのよ」というのがお母さんのメッセージ。ともかくこの社会では、自分を主張するのではなくて、仲良くしないと生きていけない、というのが、親の社会観として非常に強くあったから、子どもも、それを強く持つ。
その子が外に行って、泣いて帰ってくると、お母さんの次のメッセージは、「負けたらいけないわよ」。
この二つを統合するのはね、素直に考えると、かなり難しいメッセージですね。だけどこのナゾナゾを解かないと、日本人になれない。現代の子どもたちはこのナゾナゾを解いて、社会化するわけです。日本の子どもとして。(本文より)
彼らの生き方にも、意味がかなりあります。彼らの話を聞いているとね。ひとつは、かれらは、一九九〇年代の日本の失敗を、肌で認識してます。
この社会は、九〇年代、ふたつのことで失敗しています。ひとつは、ワークシェアリングに失敗している。フリーターが増える一方で、正社員は、ますます非人間的長時間奴隷労働が強いられています。営業職とか、小売業とか、全部そうです。(本文より)

もっとも深い社会分析家、野田正彰氏の最新刊。「ニート」については、玄田有史氏とはまた違う角度から、論じています。


この本が出された2005年から13年経ち、スマホだのSNSだのが超急速なスピードで普及し…。
電車の中を見てみてください。皆スマホでラインかゲームです。思考停止です。
ネットやスマホが悪とは言いませんが、どんどん世の中おかしい方向へ向かって行っていますよ。
私は特に、子供にスマホを持たせるのは本当に気を付けないといけないと思っています。色んな意味でです。色んな意味で。
これから親になる人には、今の時代に「親になる」ということが、どういうことなのか…よく考えて欲しいと心の底から思っています。

私がなぜこんなに長文打って、しょぼいブログにアップしてまでこんな記事を書いているかというと、少しでもいいから多くの人に気づいてほしいからです。
私が変人だから、世の中がよりいっそうおかしいと感じるのかもしれませんが、でもやはり多くの人が気づいているはずです。変だってことに。
戦前も、戦後70年も、ずっと変だったんですよ。変なのは日本だけじゃないですが、様々なデータが、日本がいかに色んな「歪み」を抱えていて、突出しておかしい国になり果てたかを示しています。

社会システムがおかしいということに、いい加減もっと多くの人が気づいて行動するべきだと思うんですが、でも何をすればいいのかわかりませんよね。

もう手遅れだからです。私ももうわかりません。

以下は、個人的に気になった個所の抜粋です。
最後のページに記してあることがとても…心に突き刺さります。
今の日本がいかに異常であるか、今一度皆さん考えてみるべきだと思います。

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就職した学生の方ですが、彼らの、二、ないし三年後で見た離職率は、三割と言われています。
そうなると、大学教育は何のためにあるのか、という話になる。もちろん、就職だけが生きる道だとは私も思わないですけど、だけど実態は、四割の学生は、就職とは関係なく生きようとしているんですね。
それを、「ニート」なんて呼んで、「社会に出ていくのが怖い」とか、そんな面だけで捉えているから、わからなくなるんです。

彼らの生き方にも、意味がかなりあります。彼らの話を聞いているとね。ひとつは、かれらは、一九九〇年代の日本の失敗を、肌で認識してます。
この社会は、九〇年代、ふたつのことで失敗しています。ひとつは、ワークシェアリングに失敗している。フリーターが増える一方で、正社員は、ますます非人間的長時間奴隷労働が強いられています。営業職とか、小売業とか、全部そうです。
もうひとつは、大国ではなく、中規模の国として、ここに生きている市民が幸福である、というプランニングができなかったこと。
経済発展している社会が、必ずしも幸福な社会ではないのにもかかわらず、惰性で、そのことは討議しないと決めている社会。どういう社会が幸福な社会かについて、議論をしない社会。
こうしたふたつの面でこの社会は歪んでいる。それに若者は気付いている。
(p41-42)


やっぱり、今の社会は、批判力を失っていますね。
例えば、サービス業が圧倒的に多い。情報サービス社会ですから、多くの若者はサービス業に勤めることになります。営業とか。
そこで例えば、小売業や外食産業に勤めると、お客さんが入ってきたら、いらっしゃいませってみんなで言わなければいけないし、四六時中、何か言わされている。「なんとかでよろしかったでしょうか」なんてね。意味のない、多くのマニュアルの下で、つねに動いで、しゃべってないと、働いている、ということにはならないことになっている。
それは、大変疲れるんですよ、本人は意識していなくても。企業はそういう若者に、ものすごいストレスを加えています。

人の精神の消耗度合いと、それに従った生産性の関連を数字で取ると、いま、それは低いんじゃないかと思うんですよね。
昔の方が、それほどまでは管理されなくて、ボーッとする時間もあったでしょう。サービス業でも何でも、すべての職場に。だから、それほど疲れなかった。
今はもう、八時間なら八時間の労働の中でも、一分一秒でも使わないと損、というような管理者側の考えで、使われているのですよ。
そういう形で消耗して頭が空っぽになっている。働いている人はその間、一種のゲームを反射的になっているようなものですね。フローの感覚で、刺激と反射だけで時間が過ぎていくのです。
(p81-82)


いまは、働く人はますます収奪されて、痙攣状態になっている。
私が少し知っているのはドイツやオーストリアですけれど、もちろん経済はあまり成長してないんだけど、圧倒的に、疲れない生活をしていますよ。毎日、ゆっくり生きていますよ。
私たちの社会は疲れ切っている。生きていくのに。
だから、疲れない社会をつくらないといけないんです。やっぱりそこでは、いま生きている個々の人々が幸せに生きられる社会とは何か、ということを議論して、それぞれの分野、地域で筋道をつくっていかないと。
(p91)


再び若い世代の話ですが、例えば幸福感の調査をすると、日本では、子どもたちの幸福感は年々下がってきているんですね。
二〇〇四年一二月に大阪府教育委員会が行った、小・中学生七〇〇〇人を対象にしたアンケートでは、「幸福を感じる」と答えたのが、小学生五割、中学生四割です。学年が上がるに従って、幸福感は下がっているんですよ。
対比として、一九九五年から九六年にかけて、ベネッセ未来教育センターが行った、同じような幸福感調査がありますので、見てみましょう。世界六か国の小学五年生、四六〇〇人が対象です。
それによると、ソウルの小学五年生では、「幸福を感じる」のは八割です。北京では、九割以上。ところが東京では、五七%。六か国中、最も低かった。

幸せだと思っている子どもが、八割、九割いるのが、普通の社会です。だけれど日本では子どもの幸福感が低く、しかも年々下がっていく傾向にある。
「幸福か?」という設問ではないんですが、二〇〇一年八月、文部科学省の財団法人、日本青少年研究所が行った調査で、「この社会に対して満足か?」という、満足度を聞いています。
それに対して、社会全体についての満足度についての設問では、満足と感じるのは、アメリカの青年で七二%、フランスでは五四%、日本では、僅か九%です。

また、「二一世紀には希望に満ちているか?」という問いに対しては、肯定したのが、アメリカ八六%、韓国で七一%、フランスでは六四%、日本では三四%です。
こういう数字が表しているように、日本では、若年層にも、幸福感があまりないんです。子どものときからすでに、希望を失っている。なおかつ、成人に近付くにつれて、ますます希望がなくなる。
(p92-93)


この数字に、ゾッとしないといけないんですよ、私たちは。しかしあまりゾッとしていない。なぜか。大人も幸せでないから。「当たり前だ」と思っているんです。
社会全体が幸せでないから、子どもが幸せでなくても、異常が起きているとは思わずに、「なるほど」「お前たちもか」くらいに思っている。
学年が上がって行くに従って幸福感がますます減っていくのは、「成長してるんだなあ」くらいにしか認識してないわけです。
(p94)


教育や子育てのことについて思うのですが、子どもを上手く育てるとか、既成の社会に有用な人間に育てるとか、そんな思いで子どもを産み育てるなんて言うのは、人類の歴史から言うと、非常に限られた、近年の、歪んだ特殊な社会でのことです。
<中略>
若い人たちも、身近な人たちとの付き合いの中に喜びを見出さないと、このままで行って中年に達したら、もともと燃えてないから「燃え尽き」という言葉も使えないんだけど、生きている実感の乏しい、感覚的に痙攣するだけの人間になってしまう。
人間が、意味とか面白さを感じるのは、最終的には、人間からですからね。
(p126)

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この記事へのコメント

  • カガミ

    👍
    2018年09月25日 02:49
  • シスイ

    カガミ様>
    ありがとうございますd(´∀`)
    2018年09月25日 22:00
  • キュー

    シスイさん、こんばんは。お忙しい中、なかなかの力作ですね。

    ここ二十数年、日本は悪くなり続けてますね。なにを基準にするかは簡単にはいえませんが。

     経済に関していうと、「国際競争に勝ち残るためには、構造改革をして、日本を世界標準の国にしなければならない!」、といって、改革をすればするほど、日本はだめになりました。こんど、外国人が大量にはいってくるともっと不安定要素は増えるでしょう。
     中低級の国民生活を犠牲にして、大企業の収益を大きくしてきた。そしてその大企業の株主はかなりの部分外国資本。
     この流れ、かなりマスメディアが煽ってきました。その結果について、当のマスメディアが「だめだ、だめだ、日本はだめだ!」といっているような構図です。

     このあたりのことが、子供たちにどのように影響しているかはハッキリしません。しかし、本文で挙げられた国々のなかで「この20年で一般国民の所得が減った、それも20%ほども」というのは日本だけです。
     そのあたりは、肌感覚でわかるし、子供、若年層、も自らの先行きを理屈抜きに感じ取ってしまっているかもしれませんね。

     と、本文でおっしゃってることとは焦点がずれてしまったかもしれませんが、今回は「今の日本はおかしい、皆、真剣に考えましょう!」という、シスイさんの心意気に感じ、多少、知識のある方面からちょっと光をあてさせていただきました。

     追伸。何かお買い物はできましたか?
     
    2018年09月26日 22:40
  • ムー

    シスイさん、あっぱれです(拍手)
    渾身の記事ですね。いや、そもそもこのブログ自体が(タイトルからして)、シスイさんのありのままをさらけ出してぶちまけてるので、そうなんでしょうけど。
    今回のはっきり言い切ってぶつけていった感じ、気持ちがいいです。

    色々思うことはあっても、なかなか表に出さないのが、日本の世の中ですからね。というか、特に最近は「あなたはちょっと黙った方がいい」って感じの人ほど全っ然黙らないで口開いて、まともな人ほ黙って静観しちゃってる。そんな感じ。
    「馬鹿には勝てない」ってこの事か…状態。

    シスイさんもおっしゃってますが、私もネットやスマホ自体が悪いものだとは全然思いません。
    「自分の頭で物を考えるということが出来ないセンスのない馬鹿」がそれらを手にすることが良くないんだと思っています。
    それはまぁ、ネットやスマホに限らず、何事においても。
    だから要はそのもっと根元が問題ってことですよね。
    日本社会の問題も結局、大元を辿っていくと
    そういうところにたどり着くんじゃないかなぁ…。
    シスイさんもおっしゃってましたけど、私も思うことは山程ありますけど、最終的には色んな意味で「もうわかりませーん(棒読み)∩(・ω・)∩」ってなっちゃいます。ある意味拒否反応。




    2018年09月27日 23:42
  • シスイ

    キュー様>
    やはり国民全体が、肌感覚で色々わかっているんだと思います。
    でももう後戻りも修正もできないところまで来ているのかなと。

    無理やり経済発展させてきたけれど、それが人の幸福に結びつくかと言うと、まったくそうではないですからね。
    しかも、仰る通り幸福に結びつかないどころか中間層が無くなりつつあり、所得も減ってきてるんですから本末転倒です。

    もうみんな考える能力も気力も失ってますね。

    ちなみに、買い物は特にできていません。。
    2018年09月28日 14:13
  • シスイ

    ムー様>
    >まともな人ほど黙って静観しちゃってる。
    これ!!本当にこれですよね!苦笑。
    最近この風潮をとても強く感じます。まともで賢い人ほど黙っている。じっと静観&諦念。

    本当に人がモノを考えない世の中になりました。
    いくら日本人が集団主義で全体主義的とはいえ、さすがになんだかもう酷い惨状になっているような気がするんですよね。
    一見すると、多様化していて色々な意見が取り入れられているような世の中になってる雰囲気はありますが、根本は何も変わってないどころか悪くなっているように感じます。

    かく言う私も、「もうわかりませーん」な状態です。
    思考停止しないとやっていけないのかもしれない。
    2018年09月28日 14:23